2007年3月31日土曜日

【おいしいコラボ】ハワイアンレシピとリノ・マカニ 1

あの、リリウォカラニのクックパパさんが、
僕の「ノースショアでGood job!」の写真にインスパイアされて、
「ハワイ写真とNEW HAWAIIANレシピ」という
写真と料理のコラボレーションをスタート。


以下は彼が僕に送ってくれた、料理についてのインスピレーションです。
《レモングラスと甜茶で煮たパスタはハワイの甘い自然の香りで演出し、味というより香りで演出しました。ソースは下に敷いて、キャロットをペーストにして、こんにゃくの細かい粉末と煮詰め、ペーストが全体に回らないように縁が透明になるように仕上がっています。光があたるとこんにゃくの細かい粒子がキラキラと光ります。冬の午後5時30分のサンセットのように・・・》

・・・・どうです?
なんだかとても美味しそうでしょう!
正に料理がリノ・マカニしています!そして彼は、惜しげもなくそのレシピまでもブログ「リリウォカラニのクックパパ」 の中で教えてくれているのですよ。これからも、時々、僕の写真からイメージした「ニュー・ハワイアン・キュイジーヌ」を発表して頂けるそうです。ウ〜ン食べてみたい!!


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モーハワイ壁紙シリーズ 3

ハワイに拠点を置く、あの超メガヒットサイト
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「写真家 高山モトムが撮る」 というページタイトルです。
2週に1度のペースでアップしています。
その中から過去の壁紙を引っ張り出して、短いコメントを添えてご紹介します。
もし、全部をまとめて見たい方や、ダウンロードしたい方は、
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ワイキキビーチのずっと沖では激しい雨が降っていた。
雲間から太陽がそこだけを照らし出したとき、
眩しいほどに輝く光のカーテンが現れた。

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2007年3月30日金曜日

【輝く風】ノースショアでGood job!

あるとき、いい波を撮りたくて、
ノースの海沿いを車で行ったり来たりしていた。

太陽がもうかなり下まで降りて来ていたので、
サンセットがきれいなスポットを探す事に気を取られ、
海の側ばかりに意識を向けて運転していたら、
突然「ちょっと停めて!」と妻。



「え〜何よ!」と気が乗らない返事をしながらも
路肩に寄せて、山側の妻が指差す先をふと見ると、
この、何とも素敵な光景が・・・。

「私、この場所を通る度に、絵になるお店だな〜と思っていたのよ。
今、タイミング最高でしょ!!」と笑っている。
僕は「おお!いいね!!」とカメラを掴んで、すかさず撮りまくった。

流石さすが、我がワイフ。
僕が撮りたいものを良く分かっていらっしゃる。

君がいないと僕は半人前なんだよ。
ホントにどうもありがとうナ。

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2007年3月29日木曜日

【輝く風】フラ・ヘイアウ

前回の約束どうり、癒されたい人のために
こんなエピソードはどう?
・・・・・・・・・・・・・・・

カウアイ島の北側、幾つものワンレーンブリッジと
ナロウなワインディングロードを走破し、
行き止まりまで走ると、そこに
独特の美しさを秘めた「ケ・エ・ビーチ」がある。
でも、リゾート気分で行くのはやめた方がいい。


このビーチの奥には「カウラ・パオア」と「カウラ・オ・ラカ」という
2つのヘイアウがあり、周囲に神聖なマカニ(風)が吹いている。
そこはフラを踊る者の聖地として、許された者だけが
立ち入る事のできる場所で、通称「フラ・ヘイアウ」とも呼ばれている。

その時は、それと知らずに霧雨が降る中、
妻と息子をビーチに残し、僕は一人で椰子のジャングルを抜け、
手前側に位置するカウラ・パオア・ヘイアウに踏み入ってしまった。

そこは草が低く生えているだけの、ただの野原だった。
周りに密集している椰子の木の隙間からは海を望むことができる。
風がなく、明らかに重くて濃い空気が充満している。
そして、不思議なのは、ここを撮りたいと思っていたのに、
その事をすっかり忘れて、ただ呆然と立ち尽し、
厳粛なまでの辺りの重圧感に打ちのめされ、その挙げ句、
見えない誰かがじーっと僕を見つめているような「恐怖」を味わい、
いたたまれずにフラフラと・・・駄洒落ではなくマジで・・・
逃げるようにビーチに戻ったのだった。

そんな訳で、ヘイアウの中は撮れなかった。
仕方なく、
その周囲を鬱蒼ととり巻く椰子の森を撮影することにした。
なッなんとその時、雨を降らせていた雲間から
太陽が急に現れて、緑の葉にキラキラと輝きを与えてくれるという、
偶然とは思えない現象が起きたのだ。

「どうだ、凄いだろう!」と、僕を脅かした
目に見えない奴(神か?)は笑っていたに違いない。

だから、決してリゾート気分では行かない方がいいと思うんだ。

・・・どう? 癒された?

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2007年3月27日火曜日

【 What happened ?】赤い海


06年3月、ハワイ諸島全域で長期に渡る降雨。
この時、カウアイ島のPoipuで目にした光景である。

大量の雨によって押し流された赤土が、
岸から帯状に数十メートルの幅で海を真っ赤に染めていた。
沖ではいつもの美しいブルーが波打ち、なぜか
その境目はいつまでも混じり合う事なく、
くっきりとコントラストを際立たせていた。

科学的にも説明のつく現象だとは思うのだが、
僕にとってはとても神秘的な出来事なのだった。
しかし、写真としては、あまり美しいものではないナ。
・・・よし、次回は
癒されたい方向けの写真を載せる事にしよう。

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2007年3月25日日曜日

【輝く風】光る雲



焦らないで ゆっくり歩こうよ。

君の手の温もりを感じながら。

明日の不安を投げ捨てて 光る雲の向こうまで。

波音は 希望と勇気を与えてくれる。

潮風は 変わらぬ愛の尊さを教えてくれる。

歌いながら ゆっくり歩こうよ。

鼓動がユニゾンするように。

光る雲は 夢を未来に運んでくれる。

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2007年3月24日土曜日

【輝く風】シュガービーチ

マウイには「シュガービーチ」という、
気の利いた名前の砂浜がある。

サトウキビの栽培が盛んだったからだろうか。
由来までは知らないが、白砂糖のように真っ白な、
ラニカイビーチ的な砂浜を想像し、
なんとなく引かれて行ってみると、
三温糖と黒糖の中間のような茶色の砂の、
どうって事ない寂しくて小さな海岸だった。

道路から波打ち際まで数メートルしかなく、
もちろんトイレもライフガード小屋も見当たらない。
きっとハワイ語の名前など無かったのだろう、
アメリカ人が仕方なく、それもかなり投げやりに
付けちゃった名前なのかも知れない。
・・・と思うくらいガッカリなビーチだった。



ただ、よく観察すると、なだらかな起伏を持つ砂浜が、
絶えず寄せる潮を様々なカタチに変えている。
ちょっと面白くなってきて、カメラをじっと構えていると・・・
・・・僕はなんてラッキーなんだ。
曇りぎみだった空から、波打ち際だけに日が差した。
ホント「やったぜ!」だった。

何の変哲もないそんな場所でも、
時の流れをカシャッと止めた瞬間に、
1枚の写真として輝きだすこともあるんだな。

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2007年3月23日金曜日

【Hawaiian Plants】ウル(パンの木)


友人のテキスタイルデザイナー Mr. Sig Zane は、
この「ウル」をモティーフにして素敵な作品を描き出す。
僕も大好きで、この木を見つけた日は、
なんだかとてもハッピーな気分になるんだ。
う〜ん、どうしてだろう。
この写真は、果実よりも一枚だけ紅葉した葉が主役。
まるで、若者たちに囲まれてちょっと孤独な老人のような・・・。
いや、僕はまだまだ若いつもりだけどね。

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2007年3月21日水曜日

【輝く風】地球の美しさに絶句 III

突如、水平線から眩しく輝くオレンジ色が現われたかと思うと、
その輝きはぐんぐん強力になり、
やがてすぐ上に垂れ込めた雲の向こうに消えて行った。
すると、帯状に広がっていた小さな雲の群れが
グリーンやオレンジやピンクに染まりはじめた。
その雲の色が水面では縦に重なり合って揺れている。


なんという光景を今僕は目の当たりにしているのだろう。
生まれて初めて見る、とてつもない美しさに息を飲む。
体も心も震えている。強烈な感動、というよりむしろ驚嘆。
ハレアカラの山頂で見た日の出の印象が薄れてしまう程のインパクト。
クリスチャンでもないのに、神でなければ為し得ない業だと本気で思う。

カメラに収めた写真の中から3点を選んでここに載せたが、
その時の僕の感動の大きさは伝わっただろうか?
しかし、そこで僕が味わうことができた「爽やかな微風」や
「深い静寂」そして「朝露の清々しい香り」までも
感じ取って頂くことは、どんな写真や言葉をもってしても、
到底無理なことだと思う。残念だが。

その後、毎朝同じ時刻に撮影を試みたが、
結局あの壮大な光のスペクタクルは二度と見る事ができなかった。

たった一度のこの体験は、
今でも鮮明に脳裏に焼付いている。(この項終わり)

【輝く風】地球の美しさに絶句 II

足元はまだ暗い。
おまけに湿った芝生は滑りやすい上に不快な感触で、
歩く度にジュザッ・ジュザッと嫌な音を発する。
すると、それを聞いた近所の犬達が一斉に吠え始めた。
「やばい」と思ったが、
「オレは写真家だ!これはオレの使命だ!」と
内心ビクビクしながらも姿勢だけは堂々と歩き続けた。
そんな僕の態度が犬達に通じたのか、彼等の興味が薄れたのか、
徐々に静寂が戻ってきた。と、どこかで鶏がコケコッコーと鳴きだした。
当たり前だが日本の鶏と同じ鳴き方である。



100メートルどころか、その5倍も歩いたような疲労感を覚えながら、
庭の突端、つまり海の縁に到達し、水面を覗き込む。
まるで湖の様に静かで、風に揺れるさざ波が一面に明るみ始めた空を映していた。
厚い雲の部分は青暗く、抜けた部分はオレンジ色のグラデーション。

三脚にカメラをセットし、太陽が現われるのを待っていた。
しばらくすると、とうてい言葉では表現しきれないほど荘厳な
空と海のスペクタクルが目の前で始まった。( III に続く

2007年3月20日火曜日

【輝く風】地球の美しさに絶句 I

OAHU島の東側は、海抜600〜800メートルのコオラウ山脈と平行して
約50kmほど海岸線が続く北東斜面の一帯で、
東からの貿易風が山脈に吹き付けて雨が多く降る
"Wind ward"と呼ばれる地域である。
僕がこの辺りに魅かれるのは、そのしっとりした空気感と
Kane'ohe Bayの凪いだ海からの日の出が、
どんな相乗効果として写真に現われるか・・・
という単純に写真家としての興味があるからだ。


ある朝、暗いうちに目が覚めて、
東側に海を望むリビングからラナイへ出てみた。
ひんやりと湿った空気が素肌に心地良い。
この家の庭は、なんと巾30メートル長さ100メートル程もある。
なだらかに傾斜した庭の先にはまだ暗い海面が続き、
水平線上にはあの有名なチャイナマンズハットが黒々と聳えていた。
上空はまだ暗く、水平線の輪郭に近いところだけがうっすらと明けはじめていた。
僕はカメラバッグと三脚を担ぎ、あたふたとビーサンを履き、
ラナイの階段から庭に降り、海に向かって歩き出した。( II に続く

2007年3月18日日曜日

【Hawaiian Plants】プロティア



雨上がりの雲間から、つかの間の日差しが

真っ赤なプロティアに注がれていた。

花びらから透け出る無垢な「赤」が妖艶に僕を誘う。

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2007年3月17日土曜日

【What happened ?】山火事は神の為す業 II


マウイ島の輪郭は、
老人が背を丸めて左向きに屈んでいるようなカタチをしている。
頭部がWest Maui、腹部にHaleakalaが位置し、お尻がHanaという感じだ。
南西向きにうつむいた額の辺りがLahainaで、やや低めの鼻がちょうどOlowaluか。

Ma'aleaはその下顎にあたる地域で、
マウイ・オーシャン・センターもここにある。
山腹は緩やかな傾斜の草原地帯で、朝夕に太陽が当たると
半島全体が黄金色に輝いてとても美しい。
稜線の北の高みには、巨大な風力発電のプロペラ塔十数基が並んで
建っていることからして、いつも強風が吹いていることがわかる。
そんな場所で山火事が発生してしまったのだ。



空港のあるKahuluiから、West MauiのリゾートエリアであるKa'anapaliや
人気のLahainaに行く場合には、
この山火事のすぐ下の海岸線を走るH30しか道はない。
ただしそれは、恐ろしく危険で遠いためにだれも行きたがらない
West Mauiの北側のWailukuから回り込む北回りルート
(340号)を除けばの話だが・・・。

ボク達は前日にこの北回りルートでLahainaに行き、
夕方のOlowaluを撮り、Kiheiに帰って来た。
昼間でももう二度と走りたくないと思ったほど過酷な道だし、
レンタカーだと、もし何かあっても保険が下りない。
つまり、H30が通行止めになると、その間、
島は完全に2つに分断されてしまうことになるのだ。

予想通り、現場から何マイルも続く動けない車の列ができてしまった。
幸い、僕達はその車列に埋まることなくスケジュールをこなし、
いつものように行動できたが・・・。


ハワイのローカルニュースでは
「マウイ島で今年最大の山火事」と報じられていた。
ということは規模を別にすれば山火事なんて
けっこう頻繁に起きているということか。
道理で、地元の人達はいつもどうりに普通にニコニコし、
「山火事?・・あっそう。」なんて感じで全然興味がない様子だった。
原因が自然発火の場合が多いので、
神の行ないだからと割り切っているのだろうか。

そう言えば、風に乗って流れて来る白っぽい煙は、
とても香ばしい爽やかな香りがしていたっけ。(この項終わり)

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2007年3月16日金曜日

【What happened ?】山火事は神の為す業 I

2006年の夏、マウイ島ではKiheiエリアの一番北側に滞在した。


今までマウイでは色々な所に泊まってみたが、
南側でどこへでもアクセスしやすい場所に泊まりたいなら、
Ma'alea bayに面しているこの辺りが最も適している。

Ka'anapaliやWaileaの様にハイソできどった雰囲気がなく、
庶民的で馴染みやすい空気がボクにはピッタリだ。
リゾートと言うより住んでいる感覚が味わえる。
5階のビーチフロントの部屋からは、
刻々と遷ろう海と空の色や風を感じることができ、
部屋のどこにいても波の音が心地良い。



ある時、日の出前に目が覚めてラナイに出た。
上空にはまだ星が瞬いている。
ふと西のMa'aleaの半島を眺めると、なだらかに傾斜したシルエットの先端あたりで、
蛇行するオレンジ色の炎が目に入った。
もくもくと白い煙が立ちこめて、ゆっくりと海の方へ流れて行く。
最初は山焼きでもしているのかと思った。
しかし、海岸線を走るH30には、無数の赤いライトが点滅している。
咄嗟にただ事ではないと気づき、カメラに一番長 いレンズを装着して覗いてみた。
やっぱり山火事だ。それもかなり広い範囲が燃えていた。
よく見ると蚊のように小さく見えるヘリコプターが消化活動をしてい る。
しかし、それが全く無意味な程、既に火事は巨大化している。
まるで、無計画に始めた大文字焼きである。(IIに続く)

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2007年3月15日木曜日

モーハワイ壁紙シリーズ 2

ハワイに拠点を置く、あの超メガヒットサイト
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バナナリーフってどうしてこんなにボクを惹き付けるのだろう。
そう、薄く大きな葉を風に破られながら、静かな安息の葉陰をつくり、
凛々しく健気に耐える姿に、母のような優しさを感じるから。

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2007年3月13日火曜日

【輝く風】HanaへのハイウェイII

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HANAでデジャヴに遭遇。
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※この体験をしたのは2005年・秋の事です。また、文章は2006年・夏にホームページにアップしたものをリライトしていますので、今話題の D.ワシントン主演映画「Dejavu」とは何の関連もありません。
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揺れる車のなかでぼんやり想いに耽っていると、
車は不意に HASEGAWA GENERAL STORE の前で停まった。
時間が止まってしまったような古めかしい建物に向かって降り立った瞬間、
デジャヴがフ〜っと僕を襲った。

HANAに来たのは初めてなのに、
この場所には前に来た憶えがある・・・・ような気がする。
十代の頃しばしば感じたことのある、あの何とも言えない胸の高揚と、
夢の中にいるような浮遊感。
スクリーンの中に入ってしまったかのような非現実感。
酸っぱい固まりのような得体の知れない何かが
胸のずっと奥の方から眉間の奥の方にジュワーっと絞り出すように
込み上げてくる感じ・・・あれは、紛れもなくデジャブだったと思う。

不思議な感覚だったが悪い気分ではない。
子供のころのデジャヴほど強烈ではないが、
言わば「懐かしい」という感性だけが脳内を締めつける感じ・・・。
デジャヴ・・・「既視感」・・・なんとも説明し難いものだが、
体験した事はありますか?


実際にはほんの10秒ぐらいだろうか、思考がストップした状態が続いたと思う。
そして唐突にそれは消えていった。
着いた時には曇っていた空から、
日差しが椰子の葉陰を店に落とし始めたことに気づき、撮影に専念した。
初めて訪れた場所なのに、ただ懐かしいだけじゃなく、
帰って来れてほっとしたような、
もっと佇んでいたいような気持ちになったことが今でも忘れられない。

でもこの建物は今はもう壊されてしまっているらしい。
古郷が消えていく様でなんだか寂しい。(この項終わり)


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2007年3月12日月曜日

【輝く風】HanaへのハイウェイI

普段はあまり観光スポットに行って写真を撮る事はしない。
そこには当然、世界中からツアー客がワンサカ集まって来る。
記念写真や風景をパチパチやっていて、
そこがどこなのかが一番重要な「ここにも来たヨ」的な証拠写真を
撮って満足している。まぁそれも有りだと思うけどね。

そして、そういう所にだってもちろん「LINO MAKANI」は存在する。
というより、言わば観光名チックな所ほど
「LINO MAKANI」の要素が沢山あったりする。
でも、観光客がいっぱいで、結局は撮影を諦めなければならなかったりする。

観光ガイドブックに載っているような写真を撮る気はないけれど
「行った事がないというのもなんだか癪だし、
何か気持ちのいい写真が撮れればいいや」ぐらいのノリで
あの "Hana" に行ってみる事にした。


ナロウでワインディングな道 HANA HWY. は、クルマ好きの僕としては
自分でドライブしたかったが、今回は写真を撮るのが目的なので、
現地で長年ツアーガイドを営んでいて、このルートを誰よりも
熟知している日本人 Mr. K に運転をお願いした。
彼は本当に素晴らしいガイドで
「この時期、この道ならあの場所に何時ごろ行けば、
こんなものを見る事ができる」
ということが全て頭にインプットされているのだ。
それはプロとしてのプライド?・・・いや、それだけではないナ。
彼はこのマウイ島を丸ごとそっくり愛しているんだ。そうとしか思えない。

さて、そんな名ガイドが薦めるポイントに到着したら、
僕はただそれを撮りたいかどうかを決めるだけでいい。
いつもと違って、こんなにオキラクな撮影ツアーでいいのかなんて気もするが、
撮る事に集中できる分、これは本当に助かった。


なんでこれがハイウェイなの?
と思うくらいクネクネと曲がりながら細く続くHANAへの道。
大自然の中をただひたすら走っていると、
地球はなんて美しい星なんだろうと改めて感じる。

樹皮が剥けた所に虹色の模様が現れるレインボーツリーの森。

群れを成して海岸近くまでやってくるドルフィンの群れ。

僕は自分が追い求めているテーマ「LINO MAKANI・・・輝く風」を
撮りたくてここまでやって来た。
見えるもの、聞こえる音、肌をなでる風、匂い。
こんなに素敵な光景をまるごと写真に収める事ができたらどんなにいいだろう。
でも僕にできるのは、
ファインダーを通して視たものを画像として残すことだけなのか。
写真として、アートとしての完成度よりも、
風の音や波の音が聞こえてきそうな写真を撮ることはできないのか。
見る人のハートを揺さぶり、眼に焼き付いて離れない写真を撮りたい!
などと考えながら車に揺られていた。(IIに続く)

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2007年3月11日日曜日

【輝く風】絶壁のうしろの丘にて

カウアイ島の北部、ハナレイ・ベイを望むプリンスヴィルは、
とても安らぐ場所だ。
大平洋が眼下に広がる絶壁のフチ沿いに緑の丘が細長く続き、
素朴なコテージが点在している。
その中のひとつ、Pali ke kua に滞在したときの感動は今でも鮮明に覚えている。

今回は、その時に撮った3点の写真で、ゆったりとした時間の流れと
「LINO MAKANI」を感じて頂けたらと思う。


「パリ・ケ・クア」はハワイ語で「断崖絶壁のうしろ」という
そのまんまの名前のアコモディションで、
先ず驚いたのが、チェックインすることもキーもなく、
メールで事前に知らされたパスコードを玄関ドアに付いている装置に入力して
(と言っても3桁の数字をただ回すだけの超レトロな鍵なのだが)入室し、
滞在期間中自由に出入りして、チェックアウトもしないで出て行くシステムだ。

まるで以前からそこに住んでいたような気分にさせてくれる、
とても気のきいたさりげなさに大感動。
リビングからは、芝生のバックヤード越しに洋々とした碧い海が一望できた。

ラナイに出て、冷えたビールを片手に
遥か下の方から聞こえてくる潮騒を聞きながら、
Na Pali Coastの北のはずれに位置する、剣のように険しい稜線の向こうに
ゆっくりと陽が落ちてゆくのを眺めていた。

ゆったりした時間が流れる中、
肌をくすぐる風が少しずつ冷たさを増して心地良い。


地球はこんなにも壮大で美しく、
生けるもの全てに惜しみなくこの愛に満ち溢れた世界を与えてくれているのに…
なんてちょっとメランコリックな気分に酔いしれる。

今ここでこうして至福の時を過ごせていることに感謝しながら、
この最高に美しい光景を大勢の人々に見せてあげたい。
写真という手段で切り取ったボクの感動をみんなと共有したい。
という衝動が心の奥底から沸き出して、
ゆっくりとカメラのシャッターを切りはじめたのだ。


《わけもなく海が好きなわけ》

子供の頃、自転車でちょっと遠乗りすれば海に行ける所に住んでいた。
10歳を過ぎた頃から、ボクはひとりでよく海に出かけた。

キャンプサイトが設えられた、岩がゴロゴロした海岸。
漂着物や海藻で汚れた、人気のない砂浜。
生臭さと日向臭さが入り混じった小さな漁港。
重油の匂いが漂い大型船のエンジンが低く唸り続ける港の桟橋。……
そこが「海」であれば、どこへでも行ったし、
どこもが大好きな「海」だった。

そこで夕陽が沈んで行くのをじっと観ているのが大好きだった。
夜になって家に帰ると、家族は皆夕食を済ませ、テレビを観ていた。
テーブルの上にはボクの分だけ膳が残されていて、
母は「もっと早く帰って来ないと片付かないじゃないの。」と
妙な叱り方をしながらもなんだか楽しそうだった。
だからボクは土曜日の午後になると、
懲りずに自転車で海に向かうことをやめなかった。

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2007年3月10日土曜日

【輝く風】雨の街にリノ・マカニは存るのか III


落ち込んでいても仕方がないから、少し歩いてみようと気を取り直し、
通りのはずれから裏道へと入ってみる事にした。

誰もいない修理工場や朽ち果てた劇場、
乗り捨てられた錆だらけの車、ボロボロの民家・・・。
なんだか懐かしい様な、妙に気持ちが安らぐ静謐がそこには存った。

雨は音もなく降ったり止んだりを繰り返している。
人が棲んでいる気配は有る、なのに誰もいない。
ファインダー越しに見ると、
他人の視線を気にしないで気ままに暮らしているこの町の住人達のさりげなさが、
やわらかで温かい光を含んで映っていた。
ボクは思った
「太陽が輝いて風を感じる爽やかな光景だけを LINO MAKANI と考えて、
そればかりを追いかけて来たのは間違っていたかも…」と。
しかし、その時の、その心境で撮った写真は
たして「リノ・マカニ」を表現しているだろうか。
今はまだ結論に達していない。(この項終わり)

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【輝く風】雨の街にリノ・マカニは存るのか II


「オレはハワイに遊びに来てんじゃねーぞ、クソッ。」
と無意味な怒りを空にぶつけてみても、空は謝ってくれる筈がない。

怒りが諦めに変わり、
ピチャピチャと雨の雫が跳ね散る水溜りをぼんやり眺めていた。
その時、ふと顔をあげると通りの向いのカフェの三角屋根が不意に明るく輝きはじめた。
雨は止んでいないのに遠くの雲間から陽が射している。
「ウッソだろ!」と呟きながら
「空が謝ってくれてるのか?…エェ〜?…有り得ねー!」と訳が解らず混乱し、
カメラを車に置いて来た事に気が付いた。

公共のパーキングまで50メートルは走った。
「そのまま陽が射していてくれよー!」と願いながらカメラバッグを担ぎ、
キョロキョロと陽が射して輝いているところがないか探しながら、
あたふたと戻って来たらさっきの三角屋根はもう輝きを失っていた。
…ダメだ、完敗だ。…でも自分が悪いのだ。( III につづく)

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2007年3月9日金曜日

【輝く風】雨の街にリノ・マカニは存るのか I


カウアイ島の Hanapepe は雨が降っていた。
ほんの数十メートルしかない通りにショップやギャラリーやカフェが何軒か
並んでいるだけの小じんまりと落ち着いた集落である。

全部の店をじっくり見てまわっても1時間もあれば事足りてしまう。
雨のせいか訪れる人も少なく、しっとりと言うより、
じっとりと湿った重い空気が流れている。

妻はこの辺りで一番大きなショップに傘を探しに入って行った。
ボクは通りに面したベンチに腰掛けて待ちながら、
空ばかりが気になっていた。

濃い雲がすぐ上の空にどんよりと居座っていて雨はまったく止む気配がない。
「やっぱりマジで傘を買わないとマズいかもな…
って言うより海もないし陽射しもないこんな田舎の風景、
どこを撮っても観光ガイドの写真よりつまらんぜ。」
と、もう3日も続いている雨に嫌気がさしてナーバスになり、
モノを視る眼までも雲ってしまっていた。( II につづく)

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2007年3月8日木曜日

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20分に1度来る大波を撮ろうと待ち構えている時、ふと振り返ると
風に揺れる椰子も砂浜もビーチハウスも
全てがオレンジ色に輝いていた。

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2007年3月7日水曜日

【輝く風】悲しく美しい海


マウイ島を横向きの人の顔に例えると、ちょうど鼻の頭にあたる集落、
OLOWALUの寂びれたビーチが大好きで、ボクはよく撮りに行くのだが、
どうってことない白サンゴの浜辺に座っているだけで、
とても満ち足りた幸せな気分になり、
ラナイ島のなだらかな稜線の向こうに陽が沈む頃には、
何故かうるうると涙が込み上げてくるのだ。

引き波に連れられてサンゴ達が奏でる軽やかな響きを聴きながら、
絶え間なく打ち寄せる波を、潤むファインダーを通して凝視している自分。

幸せなのか、悲しいのか、
混ぜこぜの気分を飲み込んでシャッターを押し続ける自分・・・。

コンドに帰り、夜、家族が眠ってから
その日撮った写真をパソコンに移し現像作業をしていると、
浜辺に佇んでいたときに見ていたものや感じていたことが
静かにフラッシュバックしてくるのだ。

OLOWALUで撮った写真はどれも皆、
息を呑むほど悲しく美しい。

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