2007年5月27日日曜日

【Old Hawaii】Pahoa town

Hiloから20マイル程南下したPahoaという町・・・というより村。
カラパナ方面へ向かう場合、普通はバイパス道路を使うので、わざわざこの寂びれた町並みを通る車は少ない。
ゼネラルストアやリカーショップ、そして数軒のレストランなどが軒を連ねているメインストリートは、不気味なほどひっそりと静まり返っていた。
観光客などに頼らないで生きてきた町は、したたかではあるが、どこか悲しげな空気が漂っている。
それは「落ち着き」であり、ある種の「諦め」でもあるのか。
だが、それでもきっと近隣の住人達にはとても重要な役割を果たす町なのだろう。

僕たちは、クムカヒ岬に向かう途中でここに立ち寄った。
既に西日はかなり傾き、静寂に包まれた町並みに長い影を落としていた。
ゆっくりとこの町の空気を感じながら、何軒かの店先を撮影した。
その時のワンショットが、このレストランらしき店の入り口である。
誰もいないのか、一枚のメモがドアに挟んであった。
「後で帰り道にまた寄ってみよう。ちょうど夕食の時間だろうし・・・」
と思い、先を急ぐ事にした。

そして、帰路、既に辺りはまっ暗である。
来た時とは逆側から進入し、通りをできるだけゆっくりと流す。
すると、何軒かのレストランやバーから、賑やかな笑い声や歌声が聞こえてきた。
透明な窓越しに、若い女性達が楽しげに食事をしているのが見える。
どの店もドアの外まで客が溢れ、皆が顔見知りらしく、活気に満ちていた。
まるで、古い西部劇映画のワンシーンでも観ているように・・・。

昼と夜の顔がこんなにも違う町はちょっと珍しい。
考えてみれば、確かにこのあたりにはこの町しか無いのだから。
付近の住人達が一日の終わりに集い、飲み、食べ、笑い、歌い、踊る。
そのためにはどうしても必要不可欠な存在だったのだ。

息子がバックシートで「お腹がすいたヨー!」と騒ぎ出した。
「じゃあ、さっきのレストランに行ってみよう。」と言ったものの、
この町では明らかに部外者の僕たちだ、きっと居心地が悪いだろうナ・・・。
と思いながら、先程の赤いドアの店を探す。
で、どうにか見つけたのだが、内も外も真っ暗で、営業はしていなかった。
あのメモも依然としてドアに挟まれたままだ。

「あ〜ぁ、残念だったね」と言いながらも内心ホッとして、
そそくさとハンドルをHiloに向けたのだった。

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