2007年6月25日月曜日

【輝く風】心に刺さる色


Haleiwaの町外れに妻のお気に入りのショップがある。
彼女は息子を連れて店内に入って行った。
車中で待っているのは退屈なので、
僕はカメラを持ち、路駐した車が見える範囲をうろつく事にした。

今にも大粒の雨が降りそうな雲行きで、
風は吹いているが、なんとなく空気も重く感じる。
こんな天気では明るくて爽やかな風を感じる写真は撮れないから、
気分が乗らず、意識を集中することもできない。

歩道に面した板塀越しに、何気なく遠くを見ていると、
密集した葉をゆっくり揺らしているパームツリーが二本、視界に入った。
片方は濃いオレンジ色の小粒な実を沢山吊るしていて目立ちたがり。
もう一方は、暗緑色の葉を鬱蒼と生やしているだけの地味な印象の椰子だ。

当然、僕は派手な方にレンズを向けてシャッターを切った。
よくあるココパームではなく、
ハワイアンクリスマスツリーと呼ばれる種類とも違うようだ。
結構珍しい品種の木だったので、
そこそこ面白い写真になりそうな予感がした。

で、最後に地味な方を「義理」で撮ってやった。
どの道つまらない写真になるだろうけど、
なんだか放っておけないような気がして・・・。

その夜、部屋でIZを聞きながら、
パソコンで上がりをチェックしていてドキッとした。
あんなに地味だったあいつが、生きていると思った。
深みのある緑の葉に雲を映して、
僕のハートを優しく撫でながら、そのくせ鋭い葉先がチクチクと
心の奥の汚れたところを刺激してくるのだ。

軽い気持ちで撮ってしまった自分が後ろめたくなり、
目頭が熱くなる。
バカみたいだが、とうとうこの写真の中のパームツリーに向かって
「ゴメン・・・そしてアリガトウ」と呟いていた。

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