その輝きはぐんぐん強力になり、
やがてすぐ上に垂れ込めた雲の向こうに消えて行った。
すると、帯状に広がっていた小さな雲の群れが
グリーンやオレンジやピンクに染まりはじめた。
その雲の色が水面では縦に重なり合って揺れている。

なんという光景を今僕は目の当たりにしているのだろう。
生まれて初めて見る、とてつもない美しさに息を飲む。
体も心も震えている。強烈な感動、というよりむしろ驚嘆。
ハレアカラの山頂で見た日の出の印象が薄れてしまう程のインパクト。
クリスチャンでもないのに、神でなければ為し得ない業だと本気で思う。
カメラに収めた写真の中から3点を選んでここに載せたが、
その時の僕の感動の大きさは伝わっただろうか?
しかし、そこで僕が味わうことができた「爽やかな微風」や
「深い静寂」そして「朝露の清々しい香り」までも
感じ取って頂くことは、どんな写真や言葉をもってしても、
到底無理なことだと思う。残念だが。
その後、毎朝同じ時刻に撮影を試みたが、
結局あの壮大な光のスペクタクルは二度と見る事ができなかった。
たった一度のこの体験は、
今でも鮮明に脳裏に焼付いている。(この項終わり)