2007年3月24日土曜日

【輝く風】シュガービーチ

マウイには「シュガービーチ」という、
気の利いた名前の砂浜がある。

サトウキビの栽培が盛んだったからだろうか。
由来までは知らないが、白砂糖のように真っ白な、
ラニカイビーチ的な砂浜を想像し、
なんとなく引かれて行ってみると、
三温糖と黒糖の中間のような茶色の砂の、
どうって事ない寂しくて小さな海岸だった。

道路から波打ち際まで数メートルしかなく、
もちろんトイレもライフガード小屋も見当たらない。
きっとハワイ語の名前など無かったのだろう、
アメリカ人が仕方なく、それもかなり投げやりに
付けちゃった名前なのかも知れない。
・・・と思うくらいガッカリなビーチだった。



ただ、よく観察すると、なだらかな起伏を持つ砂浜が、
絶えず寄せる潮を様々なカタチに変えている。
ちょっと面白くなってきて、カメラをじっと構えていると・・・
・・・僕はなんてラッキーなんだ。
曇りぎみだった空から、波打ち際だけに日が差した。
ホント「やったぜ!」だった。

何の変哲もないそんな場所でも、
時の流れをカシャッと止めた瞬間に、
1枚の写真として輝きだすこともあるんだな。

〈ランキング参加中〉
本ブログの順位が確認できます。

2007年3月23日金曜日

【Hawaiian Plants】ウル(パンの木)


友人のテキスタイルデザイナー Mr. Sig Zane は、
この「ウル」をモティーフにして素敵な作品を描き出す。
僕も大好きで、この木を見つけた日は、
なんだかとてもハッピーな気分になるんだ。
う〜ん、どうしてだろう。
この写真は、果実よりも一枚だけ紅葉した葉が主役。
まるで、若者たちに囲まれてちょっと孤独な老人のような・・・。
いや、僕はまだまだ若いつもりだけどね。

〈ランキング参加中〉
本ブログの順位が確認できます。

2007年3月21日水曜日

【輝く風】地球の美しさに絶句 III

突如、水平線から眩しく輝くオレンジ色が現われたかと思うと、
その輝きはぐんぐん強力になり、
やがてすぐ上に垂れ込めた雲の向こうに消えて行った。
すると、帯状に広がっていた小さな雲の群れが
グリーンやオレンジやピンクに染まりはじめた。
その雲の色が水面では縦に重なり合って揺れている。


なんという光景を今僕は目の当たりにしているのだろう。
生まれて初めて見る、とてつもない美しさに息を飲む。
体も心も震えている。強烈な感動、というよりむしろ驚嘆。
ハレアカラの山頂で見た日の出の印象が薄れてしまう程のインパクト。
クリスチャンでもないのに、神でなければ為し得ない業だと本気で思う。

カメラに収めた写真の中から3点を選んでここに載せたが、
その時の僕の感動の大きさは伝わっただろうか?
しかし、そこで僕が味わうことができた「爽やかな微風」や
「深い静寂」そして「朝露の清々しい香り」までも
感じ取って頂くことは、どんな写真や言葉をもってしても、
到底無理なことだと思う。残念だが。

その後、毎朝同じ時刻に撮影を試みたが、
結局あの壮大な光のスペクタクルは二度と見る事ができなかった。

たった一度のこの体験は、
今でも鮮明に脳裏に焼付いている。(この項終わり)

【輝く風】地球の美しさに絶句 II

足元はまだ暗い。
おまけに湿った芝生は滑りやすい上に不快な感触で、
歩く度にジュザッ・ジュザッと嫌な音を発する。
すると、それを聞いた近所の犬達が一斉に吠え始めた。
「やばい」と思ったが、
「オレは写真家だ!これはオレの使命だ!」と
内心ビクビクしながらも姿勢だけは堂々と歩き続けた。
そんな僕の態度が犬達に通じたのか、彼等の興味が薄れたのか、
徐々に静寂が戻ってきた。と、どこかで鶏がコケコッコーと鳴きだした。
当たり前だが日本の鶏と同じ鳴き方である。



100メートルどころか、その5倍も歩いたような疲労感を覚えながら、
庭の突端、つまり海の縁に到達し、水面を覗き込む。
まるで湖の様に静かで、風に揺れるさざ波が一面に明るみ始めた空を映していた。
厚い雲の部分は青暗く、抜けた部分はオレンジ色のグラデーション。

三脚にカメラをセットし、太陽が現われるのを待っていた。
しばらくすると、とうてい言葉では表現しきれないほど荘厳な
空と海のスペクタクルが目の前で始まった。( III に続く

2007年3月20日火曜日

【輝く風】地球の美しさに絶句 I

OAHU島の東側は、海抜600〜800メートルのコオラウ山脈と平行して
約50kmほど海岸線が続く北東斜面の一帯で、
東からの貿易風が山脈に吹き付けて雨が多く降る
"Wind ward"と呼ばれる地域である。
僕がこの辺りに魅かれるのは、そのしっとりした空気感と
Kane'ohe Bayの凪いだ海からの日の出が、
どんな相乗効果として写真に現われるか・・・
という単純に写真家としての興味があるからだ。


ある朝、暗いうちに目が覚めて、
東側に海を望むリビングからラナイへ出てみた。
ひんやりと湿った空気が素肌に心地良い。
この家の庭は、なんと巾30メートル長さ100メートル程もある。
なだらかに傾斜した庭の先にはまだ暗い海面が続き、
水平線上にはあの有名なチャイナマンズハットが黒々と聳えていた。
上空はまだ暗く、水平線の輪郭に近いところだけがうっすらと明けはじめていた。
僕はカメラバッグと三脚を担ぎ、あたふたとビーサンを履き、
ラナイの階段から庭に降り、海に向かって歩き出した。( II に続く

2007年3月18日日曜日

【Hawaiian Plants】プロティア



雨上がりの雲間から、つかの間の日差しが

真っ赤なプロティアに注がれていた。

花びらから透け出る無垢な「赤」が妖艶に僕を誘う。

〈ランキング参加中〉
本ブログの順位が確認できます。

2007年3月17日土曜日

【What happened ?】山火事は神の為す業 II


マウイ島の輪郭は、
老人が背を丸めて左向きに屈んでいるようなカタチをしている。
頭部がWest Maui、腹部にHaleakalaが位置し、お尻がHanaという感じだ。
南西向きにうつむいた額の辺りがLahainaで、やや低めの鼻がちょうどOlowaluか。

Ma'aleaはその下顎にあたる地域で、
マウイ・オーシャン・センターもここにある。
山腹は緩やかな傾斜の草原地帯で、朝夕に太陽が当たると
半島全体が黄金色に輝いてとても美しい。
稜線の北の高みには、巨大な風力発電のプロペラ塔十数基が並んで
建っていることからして、いつも強風が吹いていることがわかる。
そんな場所で山火事が発生してしまったのだ。



空港のあるKahuluiから、West MauiのリゾートエリアであるKa'anapaliや
人気のLahainaに行く場合には、
この山火事のすぐ下の海岸線を走るH30しか道はない。
ただしそれは、恐ろしく危険で遠いためにだれも行きたがらない
West Mauiの北側のWailukuから回り込む北回りルート
(340号)を除けばの話だが・・・。

ボク達は前日にこの北回りルートでLahainaに行き、
夕方のOlowaluを撮り、Kiheiに帰って来た。
昼間でももう二度と走りたくないと思ったほど過酷な道だし、
レンタカーだと、もし何かあっても保険が下りない。
つまり、H30が通行止めになると、その間、
島は完全に2つに分断されてしまうことになるのだ。

予想通り、現場から何マイルも続く動けない車の列ができてしまった。
幸い、僕達はその車列に埋まることなくスケジュールをこなし、
いつものように行動できたが・・・。


ハワイのローカルニュースでは
「マウイ島で今年最大の山火事」と報じられていた。
ということは規模を別にすれば山火事なんて
けっこう頻繁に起きているということか。
道理で、地元の人達はいつもどうりに普通にニコニコし、
「山火事?・・あっそう。」なんて感じで全然興味がない様子だった。
原因が自然発火の場合が多いので、
神の行ないだからと割り切っているのだろうか。

そう言えば、風に乗って流れて来る白っぽい煙は、
とても香ばしい爽やかな香りがしていたっけ。(この項終わり)

〈ランキング参加中〉
本ブログの順位が確認できます。